二郎 de 新橋 夜は筋トレ
香港から後輩Nが来ていた。
昼を一緒に食べようという。
とんかつ?
と一瞬聞いた自分が愚かだった。
彼はそんないい加減な気持ちで自分に声を掛けたのではない。
彼の目は真剣だった。
その真剣な眼差しを捉えた瞬間、自分の五臓六腑が大きく鼓動した。
そう、彼とは二郎と言う共通の同志を触媒にして固い絆で結ばれていたのだ。
言うまでもない。彼は真剣だった。
そんな後輩の挑戦状を前に、言い訳など出来るだろうか。
心の準備が出来ていなかったのは事実だった。
しかし、彼の眼差しを捉えた瞬間、もう今日の午後は捨てる覚悟が出来ていた。
タクシーに乗って新橋へ。
食券を購入してから、儀式は始まっていた。会話は無い。カウンターに座ってから、同志が運ばれるまで、一切の無駄な会話は許されない。
トッピング無しでこれだ。
Nとほぼ同時に活動を開始し、そして終了した。
Nの活動に一切の無駄は無かった。自分もミスはしなかったはずだ。
学生時代の本拠地での活動から数えれば、何年の付き合いになるだろう。これは歴史だ。
カミさんに説明しても理解されない。昔は大Wなんて無理して頼んだりしてね、なんて説明しても、なんの反応もきやしない。
そんなことはどうでもいい。
とにかくNとの活動は終了した。
午後、脳の活動は制限され、全てのエネルギーは消化活動に充てられた。午後2件会議があったが、既に記憶に無い。
未消費カロリーを処分するために帰宅前にジムへ。
胸のインクラインドから始め、肩のプレス、上腕二頭筋、三頭筋。その後レッグエクステンション。もう一度肩プレス。
明日はジテツウ出来たら二郎との戦いは一旦終了するだろう。